近年の税制改正では、納税者の税制に対する信頼性をより確保していくため、「納税者の視点」及び「適正課税の視点」を踏まえた納税環境の整備が図られているとともに、申告・納税方法の見直し等が積極的に行われています。
そこで、今年度改正で手当された納税環境整備に関する主な改正点について、Q&A方式で確認していきます。
Q1. 「登記上の所有者」が不明な土地について、「使用者」に固定資産税が課されることになったそうですが、その内容を教えてください。
(1)現に所有している者の申告の制度化
市町村は、その市町村内の土地又は家屋について、登記簿等に所有者として登記等がされている個人が死亡している場合、市町村の条例で定めるところにより、その土地・家屋を現に所有している「現所有者」に氏名・住所その他固定資産税の賦課徴収に必要な事項を申告させることができるようになりました。
この制度は、令和2年4月1日以後の条例の施行日以後に現所有者となった者について適用されています。
(2)使用者の所有者とみなす制度の拡大
従来から震災等の災害により土地の所有者が不明な場合には、限定的にその使用者を所有者とみなし、課税できる制度がありました。
今年度の改正により、市町村が一定の調査を尽くしてもなお固定資産税の所有者が一人も明らかにならない場合には、その使用者を所有者とみなして固定資産税課税台帳に登録し、固定資産税を課すことができるよう制度の拡大が図られました。
この改正は、令和3年度以後の固定資産税について適用されます。
Q2. 納税地を異動した場合の振替納税の口座手続きが簡素化されたそうですが、内容を教えて下さい。
Q3. 振替納税の通知依頼が電子化されるそうですが、どう変わりますか。
Q4. 納税証明書の電子的交付等が柔軟化されたそうでsが、どのような内容ですか。
Q5. 準確定申告の電子申告手続きが簡単に行えるようになるそうですが、その内容を教えてください。
Q6. 電子帳簿等保存制度が見直されましたが、内容はどのようなものですか。
A. 電子取引を行った場合の電磁的記録の保存方法の範囲に、受領者側(ユーザー側)が自由に改変できないものとして、以下の方法が加えられました(受領者側でのタイムスタンプの付与が不要)。
(1)発行者側でのタイムスタンプ付与
発行者のタイムスタンプが付与された電磁的記録を受領した場合において、その電磁的記録を保存する方法
(2)クラウドシステム等の利用
電磁的記録について、訂正又は削除を行った事実及び内容を確認することができるシステム(訂正又は削除を行うことができないシステムを含む)において、その電磁記録の授受及び保存を行う方法
Q7. 印紙税での改正点を教えてください。
図表 軽減税率を踏まえた印紙税額
Q8. その他、納税環境整備等の見直しを教えて下さい。
A. その他、次のような見直しが行われています。
(1)事業承継税制に係る届出書の添付
非上場株式等についての贈与税及び相続税の納税猶予制度等における「継続届出書」などについて、認定贈与承継会社等に係る賃借対照表及び損益計算書の添付が不要となりました。
(2)延納申請書等の記載事項等
延納又は物納の申請書について、次に掲げる法人の賃借対照表及び損益計算書の添付が不要となりました。
・延納の担保が保証人(法人)の保証である場合におけるその法人
・非上場株式を物納する場合におけるその非上場株式に係る法人
(1)及び(2)の改正は、令和2年4月1日より適用されています。