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【改正消費税】税率の引上げと軽減税率への対応策

TAX NEWS

【改正消費税】税率の引上げと軽減税率への対応策

これまで2015年、2017年の二度にわたり、先送りされてきた消費税の10%への引上げと軽減税率制度の導入が、いよいよ今年10月1日からスタートします。
軽減税率制度については、飲食料品の取扱い(販売)がない事業者も、仕入れや経費に軽減税率対象品目が出てきますので、すべての事業者が軽減税率の対応をする必要が出てきます。
以下、実務に必要なポイントを改めて整理してみます。

I 軽減税率制度

1. 制度の概要

今年10月1日以降に行う飲食料品(食品表示法に規定する食品(酒類を除く。))及び定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞の譲渡を対象品目とし、税率は8%(国分6.24%、地方分1.67%)。なお、外食やケータリング等は対象には含まれません。

 

2. スケジュールにみる準備と対策

  1. まず実施すること
    自社商品の中に軽減税率の対象品目がどれだけあるか、購入する軽減税率対象商品はあるのかなどを確認します。
    また、仕入税額控除のための帳簿及び請求書等の記載事項、納税事務(税額の計算)など、今一度、従業員等と確認しておいたほうがよいでしょう。

  2. 10月1日用の準備
    レジや会計ソフトを改修したり、税率引上げ後の値段を決め、値札を貼り替える等の準備が必要です。
    特に9月30日は周到に準備しておくことが大切です。
    なお、消費税の軽減税率制度の実施に伴うシステム修正費用の税務上の取扱いは、次のとおりです。
    プログラムの修正が、ソフトウエアの機能の追加・機能の向上等に該当する場合には、その修正に要する費用は資本的支出として取り扱われることになりますが、消費税法改正による軽減税率制度の実施に対して、現在使用しているソフトウエアの効用を維持するために行われるものであれば、新たな機能の追加・機能の向上等には該当せず、修正に要する費用は、修繕費として取り扱われます。
    ただし、プログラムの修正の中に、新たな機能の追加・機能の向上等に該当する部分が含まれている場合には、この部分に関しては資本的支出として取り扱われるので、注意が必要です。

 

3. 的確請求書等保存方式の導入
2023年10月から、適格請求書等保存方式(インボイス方式)が導入されます。「登録を受けた課税事業者」が交付する適格請求書又は適格簡易請求書及び帳簿の保存が仕入税額控除の要件とされます。

※ 適格請求書の記載事項は、発行者の氏名又は名称及び登録番号、取引年月日、取引の内容(軽減税率対象品目である場合はその旨の記載を含む)、税率ごとに合計した対価の額及び適用税率、消費税額等、交付を受ける事業者の氏名又は名称です。
なお、免税事業者は適格請求書発行事業者にはなれません。

 

4. 適格請求書等保存方式導入までの経過措置
2019年10月1日から2023年9月30日までは、現行の請求書等保存方式を維持しつつ、区分経理に対応するための措置として、以下の措置が適用されます。

  1. 区分記載請求書等保存方式(請求書等に「軽減税率の対象品目である旨」、「税率ごとに合計した対価の額」を加えたもの)
  2. 売上げ又は仕入れを税率ごとに区分することが困難な事業者に対し、売上税額又は仕入税額の計算の特例が設けられます。

 

5. 免税事業者からの仕入れの特例(経過措置)
免税事業者からの仕入れについては仕入れ税額控除の対象になりませんが、適格請求書等保存方式の導入後6年間は、免税業者からの仕入れについて一定割合の仕入税額控除が認められます。

 

6. 軽減税率Q&A
国税庁では、制度の周知等を図るため、軽減税率制度に関するQ&Aを公表しています。
この中では、軽減税率の対象となるかどうかの取引について具体的に示されています。

例えば、リベート(販売奨励金)については、事業者が販売促進の目的で、課税資産の販売数量、販売高等に応じて取引先に支払うものは、「売上に係る対価の返還等」に該当します。その適用税率は、対価の返還等の対象となった課税資産の譲渡等の内容に応じて判断することとなり、その取引が「飲食料品の譲渡」であれば、軽減税率が適用されます。
会社内や事業所内にある社員食堂で提供する食事は、その食堂において社員や職員に飲食料品を飲食させる役務の提供を行うものであることから、「食事の提供」に該当し、軽減税率の適用対象外となります。
また、インターネット等を利用した通信販売であっても、販売する商品が「飲食料品」に該当する場合には、「飲食料品の譲渡」に該当し、軽減税率の適用対象となります。


Ⅱ 価格設定や宣伝・広告等

政府は、昨年11月28日に「消費税率引上げに伴う価格設定について(ガイドライン)」を公表しています。(下図参照)

具体的に見ると、価格の表示については、総額表示(税込表示)を原則としつつ、「○○○円(税抜価格)」、「○○○円(本体価格)」、「○○○円+税」といった表記も差し支えないことを明らかにしています。
一方、小売店が値引きセール等を開催する際の宣伝・広告に関する規制としては、「消費税還元セール」や「当店が消費税を負担しています」、「消費税上昇分値引します」といった消費税と直接関連した形での宣伝等を行うことは、これまで通り禁止しています。ただし、「10月1日以降2%値下げ」や「10月1日以降○%ポイント付与」といった表示は問題ないとしています。

Ⅲ 国の支援策

軽減税率対策補助金事務局(中小企業庁)では、軽減税率制度導入により複数税率への対応が必要となる中小企業・小規模事業者等が、複数税率対応のレジの導入や、受発注システムの改修などを行うに当たって、その経費の一部を補助する「軽減税率対策補助金」による事業支援を行っています。
今年1月(一部は2月)の申請分からは、制度が大幅に拡充されています。
主なものでは、レジの設置・改修、受発注システムの改修等に要する経費の補助率を原則「4分の3以内」(三万円未満のレジ1台のみ導入する場合は「5分の4以内」)に引き上げています。また、事業者間取引における請求書等の作成に対応する受発注・請求書管理システムの開発・改修、事務機器等の導入費用を対象に追加しています。
なお、補助金を受けるには導入・改修、支払完了期限や補助金申請期限があります。

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